フリマの偽物被害じゃ警察は動かない?動くパターンや対処法を解説

フリマアプリでブランド品を購入したのに、届いた商品が明らかに偽物だった。そんな経験をして「警察に相談できるのか」「泣き寝入りするしかないのか」と悩んでいる方は少なくありません。フリマアプリは手軽に売買できる反面、出品内容のチェックが十分に行き届かないため、偽物トラブルが後を絶たない現実があります。

警察に相談しても「民事不介入」と言われた、被害届を受け取ってもらえなかった、という声もよく聞かれます。一方で、悪質な出品者が逮捕されるケースも実際に起きています。どんな場合に警察が動いて、どんな場合は動かないのか。その違いを知っておくことが、被害後の行動選択に直結します。

この記事では、フリマの偽物被害の実態・警察が動かない理由と動くパターン・被害に遭った際の具体的な対処法を詳しく解説します。

フリマの偽物被害事例は多々ある

フリマアプリでの偽物トラブルは、公的機関も繰り返し注意喚起を行うほど件数が多く、被害の深刻さが認識されています。国民生活センターは2025年9月、「購入・出品した商品が偽物?!フリマサービスのトラブルに注意!」と題した発表を行い、具体的な相談事例を公表しました(出典:国民生活センター「フリマサービスのトラブルに注意!」)。

同センターが紹介した相談事例には、「有名メーカーのギターをフリマアプリで購入したが、シリアルナンバーが見当たらず、出品者に確認すると『はっきり正規品とは言っていない』と曖昧な回答が返ってきた」というケースや、出品者側の被害として「ブランドバッグを出品・返品受け入れ後、送ったバッグとは別のものがすり替えられて戻ってきた」というケースが含まれています。

また、警察庁はオークション詐欺・フリマ詐欺について専用の注意喚起ページを設けており、「商品が届かない」「偽物が届いた」などのトラブルに遭った場合に最寄りの警察署へ相談するよう案内しています(出典:警察庁「オークション詐欺・フリマサイト詐欺対策」)。

フリマサイトでは商品の掲載時間が短く、サイト内のチェックが追いつかないため、ブランド品の偽物販売がなかなか防ぎ切れない構造があります。「写真が本物と同じだった」「評価の高い出品者だった」という場合でも偽物が届く事例が報告されており、購入者が自衛するための知識を持つことが不可欠です。

フリマの偽物被害じゃ警察は動かない?4つの理由

偽物被害を警察に相談しても「民事の問題」と言われて門前払いになるケースは珍しくありません。なぜ動いてもらえないのか、主な理由を4点に整理しました。

  • フリマの取引は個人間の売買が原則で民事不介入の考えが適用されやすい
  • 故意の証明が難しく「知らなかった」で終わるケースが多い
  • 被害金額が少額で捜査の優先度が低くなりやすい
  • 証拠が不十分で犯罪として立件できない

個人間の売買は原則として民事扱いになり警察が介入しにくい構造がある

フリマアプリの取引は、個人が個人に対して商品を販売するという形態です。国民生活センターも「多くのフリマサービスでは、トラブル解決は原則として当事者間で図ることが求められている」と明示しており、フリマ取引は基本的に「個人間の民事問題」として扱われます。

警察は民事上の紛争には原則として介入しません。これは「民事不介入の原則」と呼ばれ、お金の返還・商品の交換といった当事者間の権利義務の問題は、裁判所や調停など民事的な手続きで解決するものとされています。「偽物を送りつけられた」という事実があっても、警察から見ると「まず出品者と話し合いを」という対応になりやすいのはこのためです。

ただし民事不介入は「どんな場合も警察が動かない」という意味ではありません。詐欺罪や商標法違反などの刑事事件性が認められれば話は変わります。「民事の問題だと言われた」という場合でも、別の観点から相談を続けることが重要です。

出品者が「知らなかった」と主張した場合に故意の証明が困難になる

フリマアプリで偽物が出品される場合、「出品者自身も知らずに偽物を売っていた」というケースが一定数存在します。本物だと信じて購入したものを転売した、相続などで入手したものの真偽を判断できなかったという状況では、故意性がなく詐欺罪などを適用しにくくなります。

詐欺罪が成立するためには「故意に偽物を本物と偽って販売した」という事実を証明する必要があります。出品者が「知らなかった」と主張した場合、それを覆すための証拠がなければ刑事事件として立件するのは難しくなります。「知らなかった」という言い訳が通るかどうかは、過去の出品履歴・購入状況・価格設定など複数の事情から判断されます

一方、安値で大量に偽ブランド品を仕入れて繰り返し出品していた事実が判明した場合は「知らなかった」という主張が通りにくくなります。出品履歴・価格・数量が状況証拠として機能するため、こうした証拠を集めることが重要です。

被害金額が少額の場合には捜査の優先度が上がりにくい現実がある

警察は限られた人員と資源で数多くの事件を抱えています。フリマアプリでの偽物被害が数千円〜数万円程度の少額である場合、複数の重大事件と比較したときの捜査優先度は低くなりやすいのが現実です。「相談には応じるが、捜査まで着手するかどうかは別の話」という状況になることが多いのはこのためです。

ただし、同一の出品者から複数の被害が出ている場合や、被害総額が大きく積み上がっている場合は話が変わります。自分一人の被害を相談するだけでなく、同一出品者からの被害者が複数存在することを示せると、組織的な犯罪行為として扱われる可能性が出てきます。

少額被害で泣き寝入りしたくない場合は、警察への相談と並行して消費生活センターへの申告や、フリマアプリ運営会社への報告を組み合わせることが現実的な対処法になります。

証拠が乏しい状況では犯罪事実の立件に必要な要件を満たしにくい

警察が刑事事件として動くためには、犯罪事実を立証できる証拠が必要です。偽物被害の場合、「本当に偽物かどうか」を客観的に示すための鑑定書・専門家の意見書、出品者が「故意に偽物と知りながら販売した」ことを示す証拠などが求められます。

商品が届いただけでは「偽物かどうか」の判定がつかない場合も多く、素人判断による「偽物だと思う」という申告だけでは証拠として不十分なケースがあります。専門の鑑定機関やブランドメーカーに真偽確認を依頼し、その結果を文書で取得しておくことが、警察への相談を前進させる上で有効な準備となります

また、取引時のやり取りのスクリーンショット・商品の状態を示す写真・出品ページのキャプチャなど、手元で集められる証拠は全て保存しておきましょう。証拠が揃っているかどうかが、警察や法的機関が動けるかどうかの分岐点になります。

フリマでの偽物ブランド販売で警察が動くパターン

警察がフリマアプリでの偽物問題に積極的に動くのは、一定の条件がそろった場合です。どんな状況なら警察が介入しやすいのかを理解しておくことで、相談の際の準備が変わります。

  • 商標法違反として刑事告訴できる状況がある
  • 詐欺罪が成立する要件を満たしていると判断される
  • 組織的・反復的な偽物販売が明らかになった
  • 被害者が複数で被害総額が大きい

商標法違反として刑事告訴できる状況があれば警察が動きやすくなる

ブランド品の偽物を販売する行為は、商標権を侵害する行為として商標法違反となります。「売る目的で偽ブランド品を所持した時点で違法」とされており、出品した時点で「商標侵害品を所持した」として商標法違反に問われる可能性があります。この場合の罰則は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、あるいはその両方です。

商標法違反は刑事事件として立件できるため、ブランドメーカーが告訴状を提出したり、被害者が商標法違反での刑事告訴を行ったりすることで、警察が捜査を開始するきっかけになります

刑事告訴の手続きは一人では難しい面もありますが、弁護士に相談することで「商標法違反として告訴できる状況かどうか」の判断を仰ぐことができます。証拠が揃っていれば、告訴状の作成と提出を弁護士に依頼するという選択肢もあります。

詐欺罪の成立要件を満たすと判断された場合は捜査が始まりやすい

偽物と知りながら本物だと偽って販売し、購入者が本物と信じて代金を支払った場合、詐欺罪が成立します。詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役で、罰金刑がないため起訴されれば実刑か執行猶予付き判決になります。出品者が偽物と知っていたことを証明できれば、詐欺罪として捜査が動きやすくなります

「過去にも同様の商品を複数出品していた」「偽物をまとめて大量に仕入れて転売していた履歴がある」「明らかに安値で入手できないブランド品を適正価格で売っていた」など、出品者の故意を推認させる状況証拠が重なれば、「知らなかった」という言い訳が通りにくくなります。

出品者のアカウントに残っている過去の出品履歴・取引記録・他の購入者のレビューなど、購入前に確認できる情報を保存しておくことが証拠として機能することがあります。

組織的・反復的な偽物販売が明らかになると警察が本格捜査に動く

同一人物が繰り返し偽物を出品していた・複数のアカウントを使って大量に偽物を販売していた・組織的に偽ブランド品を調達して転売していたという事実が明らかになると、個別のトラブルを超えた組織犯罪として警察が本格的に動く可能性が高まります。

実際に、フリマアプリを使った偽物ブランド品の大量販売で出品者が逮捕されるケースは過去に複数報道されています。こうした摘発が行われる背景には、フリマアプリ運営会社が不審な出品情報を警察や権利者に提供する仕組みがあることも関係しています

一人の被害者が動いただけでは組織的な犯罪として認識されにくいケースでも、同一の出品者からの被害者が複数集まって連名で相談・告訴を行うことで、警察が重大性を認識して動くきっかけになることがあります。

被害者が複数いて被害総額が大きい事案は捜査の優先度が上がる

1件の少額被害では警察が動きにくくても、同一の出品者や同一のアカウントから複数の被害が出ていて、合計の被害額が大きくなっている場合は、事件としての重大性が増します。「自分と同じ出品者から被害を受けた人がいないか」を確認し、被害者を集めて一緒に相談・申告することは、警察を動かすうえで有効なアプローチのひとつです

交流サイトや口コミ掲示板などで、同一出品者の別の被害者を探すことができる場合があります。同じ状況の被害者が複数確認でき、被害届が積み重なれば、警察としても捜査に動かざるを得なくなります。

また、フリマアプリの運営会社に対して同一出品者への複数の苦情が集まった場合、運営側が警察と連携して情報提供を行うきっかけにもなります。個人で抱え込まずに、被害情報を積極的に共有することが状況を動かすうえで重要です。

フリマで偽物被害に遭った際の対処法

偽物被害に遭ってしまったとき、状況をできるだけ有利に動かすためには、行動の順番と内容が重要です。取るべき対処法を3段階に整理しました。

  • 取引の記録を保全して証拠を確保する
  • 受取評価をせずフリマアプリ運営会社に報告する
  • 消費生活センター・警察・弁護士に状況を相談する

取引のやり取り・出品ページ・商品状態を記録として早急に保全する

被害に気づいた瞬間から、取れる記録はすべて保存することが最優先です。警察庁もフリマサイトの被害に遭った場合の準備として「商品が出品されていたサイトの画像・取引相手の情報・やり取りのメール等」を保存するよう案内しています。スクリーンショットで保存できる情報は、出品ページ・商品説明・出品者のプロフィール・取引中のメッセージ・評価履歴など、可能な限り広く記録しておきましょう

届いた商品の状態も証拠として重要です。偽物と思われる箇所・本物との違いがわかる部分・外箱やシリアルナンバーの有無などを写真に残しておきましょう。出品時の写真と届いた商品の写真を並べて比較できる状態にしておくと、後の説明がスムーズになります。

出品者のアカウントや出品ページは後から削除・変更されることがあります。気づいた時点でキャプチャして保存し、外部のストレージにもバックアップを取っておくことで、証拠が消えるリスクを防ぐことができます。

受取評価は絶対にせずフリマアプリの運営会社に報告・問い合わせる

フリマアプリでは、購入者が受取評価を行うことで取引が完了し、出品者に代金が入金される仕組みになっています。偽物が届いた場合、受取評価を行う前に運営会社に連絡することが絶対に必要です。受取評価を行ってしまうと「取引が完了した」とみなされ、返金・返品交渉が極めて困難になります。

運営会社に状況を伝え、鑑定サービスや補償制度の利用が可能かどうかを確認しましょう。フリマアプリによっては、偽物が届いた場合の補償や第三者鑑定のサポートを提供していることがあります。出品者との直接交渉で解決が難しければ、運営会社を通じた調査・介入を求めることが次のステップです。

運営会社への問い合わせ時は、記録した証拠を添付し「いつ・どのような商品を購入したか・届いた商品がどのような状態だったか」を具体的に伝えることで、対応が迅速になります。返品を受け入れる際は、送付前と後の状態を写真で記録することも忘れないようにしましょう。

消費生活センター・警察・弁護士に段階的に相談して解決を目指す

出品者との交渉も運営会社への相談も進展しない場合、外部機関への相談が次のステップです。まずは消費者ホットライン(電話番号「188」)に電話して最寄りの消費生活センターにつないでもらい、今後の対応についてアドバイスを受けましょう。消費生活センターは返品・返金交渉の支援や事業者への働きかけを行ってくれることがあります。

偽物販売の悪質性が高い・被害金額が大きい・組織的な犯罪の疑いがあると感じる場合は、証拠をまとめて最寄りの警察署に相談することも検討してください。警察庁も「商品が届かない、偽物が届いた場合はオークションやフリマの記録を持参して最寄りの警察署に相談を」と案内しています。弁護士への相談は、法的手段として商標法違反での告訴・詐欺罪での被害届・民事での損害賠償請求などを検討する際に有効です

法テラス(日本司法支援センター)では、一定の条件を満たす場合に弁護士費用の立替制度が利用できます。「弁護士費用が心配で相談できない」という場合も、まず法テラスへの問い合わせを検討してみてください。

まとめ

フリマアプリでの偽物被害は国民生活センターや警察庁が繰り返し注意喚起するほど件数が多く、決して珍しいトラブルではありません。一方で、フリマの取引は個人間売買であるため民事不介入の原則が適用されやすく、故意の証明の難しさ・少額被害・証拠不足などの理由から、警察がすぐに動いてくれないケースが多いのも現実です。

ただし、商標法違反として刑事告訴できる状況がある・詐欺罪の要件を満たす証拠がある・組織的な繰り返し販売が判明している・複数の被害者がいて被害総額が大きいという条件がそろうと、警察が本格的に動く可能性が高まります。

被害に遭ったときの優先順位は、まず記録の保全、次に受取評価をしない状態での運営会社への報告、その後に消費生活センター・警察・弁護士への相談です。証拠を早めに確保しておくことが、その後のすべての対処の土台になります。

「どうせ動いてくれない」と諦める前に、手元の証拠を整理したうえで相談窓口に声をかけてみてください。一人の相談では動かなくても、複数の被害が積み重なることで状況が変わることがあります。

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